広島大学メールマガジン第16号をお届けいたします。

今回のメールマガジンでは、国連のSDGsの枠組みを用いて大学の社会貢献の取り組みを可視化するランキング「THEサステナビリティ・インパクト・レーティング2026」における本学の成果をご報告します。

ぜひご一読ください!

 

 イギリスの高等教育専門誌Times Higher Educationが2026年6月24日、「THEサステナビリティ・インパクト・レーティング(旧インパクトランキング)2026」を発表しました。


 本ランキングは2019年に「THEインパクトランキング」として開始され、2026年からは「THEサステナビリティ・インパクト・レーティング」に名称を変更。8回目の今回は、世界1,603大学が総合ランキングの対象となりました。


 広島大学は、総合ランキングで世界77位(1,603大学中)、国内2位(30大学中)にランクインしました。本学が総合ランキングで世界トップ100にランクインしたのは今回が初めてです。これまでも、6年連続で101-200位という高い水準を維持してきましたが、地道な取り組みを積み重ねた結果、今回、世界トップ100入りを果たしました。かねてより本学が掲げてきた世界トップ100という目標を達成することができました。


 SDGs項目別ランキングでは、国内大学最多タイとなる7項目が世界トップ100に、そのうち5項目が世界トップ50にランクインしました。さらに、国内順位としては、3項目で単独1位を獲得しました。該当項目は以下のとおりです。

 今回の成果は、本学が推進するカーボンニュートラル×スマートキャンパス5.0の取り組みをはじめ、2030年のSDGs達成に向けて、世界への貢献を着実に積み重ねてきた結果であると認識しています。特に近年はこれらの取り組みを積極的に社会に発信し、その成果や知見の共有を図ってきたことが、今回の評価につながったものと考えます。

本学の評価ポイント

 総合ランキングは、必須のSDG17「パートナーシップで目標を達成しよう」と、SDG1~SDG16のうち上位3つのSDGs項目のスコアを組み合わせて算出されます。本学では、SDG1「貧困をなくそう」、9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、15「陸の豊かさも守ろう」、17「パートナーシップで目標を達成しよう」の4項目が総合スコア算出に使用されました。

 特に、SDG15「陸の豊かさも守ろう」は、環境省「自然共生サイト」への認定を含む生物多様性保全の取り組みや、11月に開館20周年を迎える総合博物館の活動などに加えて、このSDGに関連する研究のポイントも上昇しており、研究面でもSDGs達成に向けた本学の活動が評価されています。


 各項目に関連する本学の具体的な取り組みの一部をご紹介します。

SDG1「貧困をなくそう」に関連する取り組み

 本学は、共同研究や政策提言、能力開発を通じて、地方、地域、国内、世界レベルでの貧困対策に貢献しており、これらの取り組みに関する情報を集約し、ウェブサイトで公開しています。

広島大学の貧困対策における政策・ポリシー・取り組みはこちら


 大学院医系科学研究科小児歯科学研究室では、2009年からカンボジアでの歯科医療支援活動を実施しています。内戦によって教員や医師・歯科医師の虐殺が生じ、1970年代後半に教育や医療が崩壊したことで、未だに歯科医療や歯科保健の供給、歯科医師の養成が充分でないカンボジアにおいて、本学歯学部とNPO法人NGOひろしま「アジアの子どもの歯を守る会」、そして現地の大学歯学部などとも協力して活動を続けています。当研究室は特に全体の企画や運営を引き受けるなど、活動の中心を担っています。

カンボジアにおける歯科医療支援活動

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 大学院統合生命科学研究科の島田 昌之教授の研究グループは、2019年に簡便な雌雄産み分け法を応用したウシの人工授精法の研究成果を発表しました。翌年には、感染症と貧困の撲滅を目指すビル&メリンダ・ゲイツ財団から3年間で約270万米ドルの助成を受け、インドにおける貧困層の食料問題解決を目指し、雌牛の繁殖頭数を増やして牛乳生産量を高める研究を進め、実用化技術の開発に成功しました。この技術を世界に広めるためには、簡便で安価な精子保存法の開発が不可欠です。そこで2025年、同財団からさらに約180万米ドルの助成を受け、同年10月からの3年間で新たな研究に取り組んでいます。インドの農業団体や政府研究機関と連携し、インド・アフリカ地域の小規模酪農家が高い生産性と適応性を備えた牛や水牛を入手できる環境を整え、収入の向上を目指しています。

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SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関連する取り組み

 前回の本ランキングから、産業界からの研究資金の受入が増加したことに加え、研究成果をもとにした大学発ベンチャーの創出が進んでいることが評価につながったと考えられます。これらの成果は、本学が産学連携を通じて研究力を社会に還元し、新たな産業や価値の創出に貢献していることを示しています。

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SDG15「陸の豊かさも守ろう」に関連する取り組み

 本学では、生態系保全のための教育の充実や、「カーボンニュートラル×スマートキャンパス5.0」の実現に向けた取り組み、適切な廃棄物処理の徹底などを通じて、土地の豊かさを維持する活動を継続して推進してきました。近年は、これらの取り組みを積極的に公開し、その成果や知見の共有を図っています。


 東広島キャンパスの「発見の小径 水辺ゾーン」は、環境省から「自然共生サイト」に認定されています。「自然共生サイト」とは、「民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」を環境省が認定する区域のことで、生物多様性の価値維持、質の向上が促進され、日本における30by30目標(2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標)達成への貢献が期待されます。長年にわたり東広島キャンパスの生物相を調査した総合博物館および東広島植物園のスタッフ、地元の方々、総合博物館公認の学生ボランティアCSR(キャンパス・スチューデント・レンジャー)の活動が高く評価された結果と言えます。認定区域では、環境省や広島県のレッドデータブックに掲載されている昆虫類、植物、鳥類などの希少種が計53種確認されているほか、広島県のレッドデータブックに掲載されているニホンアカガエルが、区域内で毎年繁殖していることも明らかになっています。

自然共生サイト認定区域(黄色枠のエリア)

CSR活動の様子

自然散策道「発見の小径」の詳細はこちら

SDG17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関連する取り組み

 本項目では、SDGs達成に向けた他機関との連携に加え、SDGs報告書の発行、SDGsに関する教育など、対象大学の活動全体が評価されます。本学では、本学のSDGs活動の拠点である広島大学FE・SDGsネットワーク拠点 (Network for Education and Research on Peace and Sustainability(NERPS))が開催する「NERPS国際学術会議 (NERPS Conference)」や、大学院共通科目の実施、SDGsに関する公開講座・イベントの実施などの取り組みが総合的に評価されたものと考えております。


 NERPSは、2022年以降、毎年「NERPS Conference」を開催しています。本会議は、学生、研究者、実務家が一堂に会し、平和で持続可能な未来に向けたトランスディシプリナリー研究および協働のためのパートナーシップの構築を目的としています。2026年3月に国際連合大学と共同で東京の同大学本部にて開催した「2026年NERPS国際学術会議 (NERPS 2026 Conference in Tokyo)」には、世界37か国の152の大学・研究機関から322人が参加し、多岐にわたる研究発表、専門家によるラウンドテーブル・ディスカッション、革新的ワークショップが実施され、合計63の分科会が開催されました。口頭発表は242件に上ったほか、今次会議で初めて22件のポスター発表が行われ、平和で持続可能な社会の実現に向けた取り組みにかかる情報と意見の交換やネットワークづくりの機会になりました。

「NERPS 2026 Conference in Tokyo」の詳細はこちら

最後に

 本学は、新しい平和科学の理念である「持続可能な発展を導く科学」を実践する世界トップクラスの教育研究拠点を構築し、多様性を育む自由で平和な国際社会の実現に貢献する「平和を希求しチャレンジする国際的教養人」を育成してきました。今後も2030年のSDGs達成、さらにはその先の平和で持続可能な世界を実現するため、世界からその貢献が見える広島大学を目指し、活動を積み重ねてまいります。



THEサステナビリティ・インパクト・レーティング2026(THEのサイトに遷移します)

次号は、7月8日(水)頃に配信予定です!

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