広島大学メールマガジンでは、2か月に1度、メールマガジン限定のスペシャルコンテンツとして、あるテーマに焦点をあて、本学の実績や取り組んでいること、これからの挑戦等について、深掘りした特集号を配信します。


 今回のテーマは「学生の「面白い」を育てるアクティブ・ラーニング」です。


 本学では、理念の一つとして「豊かな人間性を培う教育」を掲げています。その基盤となるのは、学問への広い関心、すなわち学問を「面白い」と感じる力と、ものごとを学際的・総合的にとらえる力です。本学では、在学期間の全てを通じて、教養教育で興味の幅を「広げる」こと、専門教育で自身の専門領域を「深める」ことの双方を重視しており、こうした力を育む教育環境を整備することで、主体性を持って学ぶ学生の高い意欲に応えています。


 その一環として、全学部の新入生を対象に、多様な分野で世界的に活躍するリーダーによる講演会「世界に羽ばたく。教養の力」を実施しています。講演では、ご自身の学生時代や困難を乗り越えた経験などが語られ、講演後には学生同士のディスカッションの場を設けることで、大学での学修に対する主体性や興味の広がりを促しています。

2025年度および2026年度の講演者一覧。全学部生は必ず2回聴講します。

左から池谷氏、中丸氏

講演の様子

「世界に羽ばたく。教養の力」の詳細はこちら


 さらに、学生の「面白い」を引き出すために、「アクティブ・ラーニング」の手法を積極的に取り入れ、学生が主体的に学ぶ姿勢を育む教育を展開しています。アクティブ・ラーニングとは、教員が一方的に説明する講義形式の教育とは異なり、学修者自身の能動的な学びを通じて汎用的能力を育成する教育手法です。


 広島大学の教育の今をご紹介します。

1.「面白い」が芽生える基礎作りとしての教養教育

 本学では、学部1年次生の必修科目として開設している「大学教育入門」と「教養ゼミ」において、アクティブ・ラーニングを取り入れることで、主体性、論理的思考力、表現力、コミュニケーション能力とともに「大学での学びとはどういうものか」「学問の面白さはどこにあるのか」といった問いに向き合う基本的な姿勢を身に付けます。

「大学教育入門」と「教養ゼミ」の詳細はこちら

 その他の教養教育科目においても、各担当教員がさまざまな工夫を凝らし、学生の能動的な学修を引き出す授業を展開しています。


 2016年度から2021年度にかけて実施したアクティブ・ラーニング導入に関する調査では、最終年度である2021年度に、教養教育科目におけるアクティブ・ラーニング導入率が100%に達しました。翌2022年度には、各教員のアクティブ・ラーニングの実践例をまとめ、授業方法の更なる改善に活用することを目的として、「広島大学教養教育授業実践事例集」を発行しました。

主体的に学ぶ学生を育てる-広島大学教養教育授業実践事例集-

「広島大学教養教育授業実践事例集」の詳細はこちら


 学生の能動的な学修を引き出す授業方法に正解はなく、各教員が自身に合った方法を常に探り、試行錯誤しながら改善していくことが求められます。本学では、新任教員に、主体的な学びを促進する授業方法に関する研修の受講を義務づけており、教員の能力向上と、授業の質の強化を図っています。

2.多様な仲間と「面白い」を探求する「展開ゼミ」

展開ゼミ(左から「土器をいてみよう」、「地学巡検~野外で地球を観察しよう~」)

 2023年度から新たに開設した「展開ゼミ」では、学部・学年を問わない少人数クラスで、担当教員自らが「楽しい」「学生に学ばせたい」という思いで設定した授業テーマのもと、討論や体験型の学習に取り組みます。多様な考え方に触れ、他者と協調・協働して課題解決に取り組む課題設定・解決能力やリーダーシップを身に付けます。2023年度から2025年度までの3年間で50科目を開講し、256人の学生が受講しました。


 実施初年度の受講者アンケートでは、チャレンジ精神などのさまざまな能力が向上したとの回答が寄せられ、満足度は99%と非常に高い評価を得ました。他学部、他学年の学生との学びや交流が刺激となり、視野が広がったとの声も寄せられています。


 受講者の中には、その後も自身の専門分野にとどまらず、異なる分野をより専門的に学ぼうとする動きも見られます。興味のあるテーマについて主体的に探究する経験を学部1年次生から重ねることができ、学生が学問の楽しさに触れ、新たな興味を切り開く貴重な機会となっています。

「展開ゼミ」の詳細はこちら

3.多文化共修と現場体験が生み出す新たな教育モデル

 新たな教育の動きも始まっています。2024年度、本学が提案した「Town & Gown構想と連携した課題探究型経験学習による多文化共修教育システムの構築」が、「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業」のタイプⅠ(地域等連携型)に採択されました。本学は、2029年度までの6年間で総額4.5億円の補助を受け、本事業に取り組みます。


 課題探究型経験学習はアクティブ・ラーニングの一形態であり、学生が地域や企業などの現場で得た気づきから課題を見つけ、関係者との対話を重ねながら解決策を導き出すプロセスを重視します。本学はこれまでに培ってきた徹底した国際化の実績を基盤に、全ての授業を英語で実施するとともに、学修段階が上がるにつれて課題探究型経験学習の手法を多く取り入れる、ステップアップ型の多文化共修教育システムを構築します。

STEP2では、2010年度から継続している本学独自の短期留学プログラムの実績を活かすなど、これまでの取り組みの積み重ねが反映されています。

多文化共修教育システムの詳細はこちら


 現在は構想段階の部分もあり、本格実施に向けた準備が進んでいます。2025年度は、地域課題共修科目群として、「地域課題共修方法論」「地域課題共修演習」を開講しました。地元企業の西條商事株式会社のご協力のもと、同社が運営するスーパーマーケットをフィールドとして、日本人学生3人、外国人留学生3人の合計6人が受講しました。


 受講生からは、多様な背景を持つ仲間との意見交換を通じて新たな発想が生まれ、学んだ知識を実践的に活用できた、という声が寄せられました。

「地域課題共修演習」グループディスカッションやプレゼンの様子

「地域課題共修演習」の詳細はこちら


 さらに、2026年度からは「平和共修科目」が一部の学部でスタートします。本学では、2011年度から全学部生に「平和科目」を必修化し、戦争・紛争、核廃絶、貧困、飢餓などの様々な観点から平和について自ら考え、理解を深める教育を行ってきました。2025年度は27科目を開講しています。

「平和科目」では、平和に関するモニュメントの見学などを行った上で

「平和を考えるレポート」を提出します

 「平和共修科目」では、「平和科目」と連動した学びを通じて、多文化・異文化を理解し、さまざまな社会問題を解決する力、地域における課題等を俯瞰し、解決する能力の育成を目指します。具体的には、留学生を含む少人数のグループでのフィールドワークにより実際の課題を理解し、グループ・ディスカッションを通じて解決策を提案するプロセスを学びます。


 2029年度までに、全学部1年次生の必修科目とする予定です。学部1年次生全員が地域でフィールドワークを行う取り組みは他大学には例がなく、本学ならではの特色ある取り組みです。


 本事業を通じて、地域と世界の両方の視点から実社会の課題を発見し、創造力をもって課題解決に挑戦できる人材を育成し、世界で活躍できる次世代リーダーの輩出を目指します。

事業の詳細はこちら

最後に

 広島大学では、学生一人ひとりが学問の「面白い」を実感し、自ら学びを切り開いていけるよう、教育プログラムを体系的に整備し、アクティブ・ラーニングの手法を駆使した教育を実施しています。多文化共修によって視野を広げ、実社会における課題解決に挑む経験は、卒業後、社会に出た後も確かな力となります。


 こうした取り組みを通じて、学生の主体的な学びを促し、How(どう解くか)だけでなくその先にあるWhy(なぜそうなるのか)を問い、物事に対して歴史的な背景なども含めさまざまな角度から考えることができる人材を育成します。

次号は、3月11日(水)頃に配信予定です!

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